「お願いだから、書かないでください!」

涙目で懇願する私に 雲の上の人たちは こう言った。

「泣けるものなら 泣いてお願いしなさいよ」

雲の上の人たちって イジワルなんだから 素敵です。


いつも読んでくださっている皆様、ありがとうございます。

地味にブログを書いていますが
拍手やコメントをいただけると お肌の張りも若干マシになります。

基本的に 私自身、地味な人間だと思います。
だから アルってやつは 路傍にある石の置物と思ってくださって結構です。

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「周りのことすべてを投げ出しても やるべきことがある。それをやるのは、今」

彼女のほうが 私なんかより よっぽど思慮深い。
私のほうが直感的だ。
というよりも 刹那的すぎる。

どれだけ長く一緒にいても 
一緒にいればいるほど 孤独にさいなまれる。



マンボウのいる水族館を堪能してから
大阪行きの特急に乗って 私たちは賢島を後にした。

指定席に座るとすぐに
ミサトさんと私は どちらからともなく手を握った。
2人とも睡眠不足だったから ほどなく眠ってしまったけれども
終点に着くまで ずっとそうしていた。

心のなかは とても満ち足りていて
今がとても幸福だという安堵感があった。
そしてそれは ずっと続くだろうとも思えた。

これが 刹那主義の私。

ミサトさんの心のなかは どうだったんだろう?

彼女は1年後、5年後、10年後のことを冷静に考えていたんだと思う。
そうでなければ クリスマスの直前に 私に差し出した手紙の意味が説明できない。


12月に入ると お互いにいろいろと忙しく 会えない日が続いた。
ようやく クリスマス直前に 会おうということになり
映画を観る約束をした。

当日は寒々とした天気で 雨が降りそうな空の色だった。
それでも 久しぶりに彼女に会えるから
いそいそと服を着替えて 電車に乗った。

待ち合わせ場所で会って 映画を観て その後ご飯を食べるまで
なぜか ミサトさんは口数が少なかった。
またいつものように いろんなことを頭の中で 高速で考えているんだろう。
こういう時には 安易に寄り添ってはいけないような気がするから
私も黙って様子を見ていた。

街をゆく人が多い。
人混みは苦手。
早く別の場所に行きたい。

いつも 行き先はミサトさんがぱっと決めてくれるから
次はどこ行くんだろうなーと思っていたら
「これ読んで」と 封筒に入った手紙を渡された。

「え、なんで? 今?」
彼女は黙ってうなずく。

また手紙? どうして?
言いたいことは 直接ずばっと言うのがミサトさんでしょう?

仕方ないので 言われるままに 紙を開いて読む。
今度はレポート用紙でなく ちゃんとした便せんだった。

それは 鳥肌の立つくらい 揺さぶられる恋文だった。
恥ずかしいくらいに 私を想ってくれる彼女の気持ちが並んでいた。
こんなに 熱のこもった言葉を
受け取る私自身が とても敏感な状態だったから
いともたやすく 熱を感じてしまう。

そして 最後はこう締めくくられていた。
「誰よりも 愛しています。だから もうやめよう。」


予感はあった。
一緒にいても 沈黙が続くと 不安になって
彼女の考えていることを 想像していた。
それが 今 当たるなんて。

今度は私が 頭の中でいろいろと考えなければならなくなった。

誰よりも愛してくれるのに なぜ やめなきゃならないの?
あなたが女だから。

女だと 一緒にいてはいけないの?
私は あなたを幸せにしてあげられないから。

私は十分 幸せだと思っているのに?
今が幸せだとしても この先ずっと幸せではいられないから。


・・・おかしいな、こんなこと ずっと前からわかっていたのに。
それでも これでいいと私は思っていたのに。

ミサトさんは よく言っていた。
「周りのことすべてを投げ出してでも やらないといけないことがあるの」

勉強家で、努力家の彼女は いつも実験やバイトで忙しくて
その忙しいなかで 確固たる目標を持っていた。
いったい この人は将来 どんな人物になるんだろうと思った。

「その、やらないといけないことって 恋愛にはならないの?」
私がそう言ったら ミサトさんはびっくりして
「そんなこと言う人は 初めてだわ」と言った。


・・・
受け取った手紙を
手が震えないように 震えているところを見られないように
慎重に 封筒にしまう。

もう なんの言葉も出てこない。
人混みのなかで 絶対泣かないようにしようと
下を向いて 必死に堪えた。

ミサトさんが 私には触れないようにしながら
近くに寄ってきて 耳元で言う。
「最後に 海を見たい」

私たちは 電車の中で終始無言だった。
動物園や遊園地のある 海沿いの公園に着いたときは
すでに夜で 海岸に下りたときは 空も海もわからないくらい暗かった。

「ごめんね」
1時間ぶりに聞けた彼女の声が 謝罪の言葉。
その途端に うつむいていた私の目からポタポタと涙が落ちる。

あんまり私がひどく泣くので
ミサトさんは 私の腕をつかんで引き寄せた。
同情して抱きしめられるなんて嫌だ とミサトさんの顔を見たら
彼女も泣いていた。

泣くなんて思っていなかったので 驚いたが
彼女の涙を見たら なぜだか 落ち着いて
今度は逆に 彼女は大丈夫なのかと心配になって
彼女の華奢な体を抱きしめる。

私と彼女は体を寄せ合って キスをして 泣き続けた。

ああ もうダメなんだな。
そう思った。



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拍手コメントくださった・・・

★Rさんへ
超絶だなんて、そんっな!
私の目指している超絶ブロガーさんは
Rさんもおっしゃっていた あのお方ですよ。
本当に、あのお方には毎日癒されていました~
コメントありがとうございます。また来てくださいね。

★Sさんへ
ラブラブには 程遠いなぁ・・・
この、延々と続く過去話も ようやく着地点が見えてきましたよ。
ところでSさん、もしよろしければお伝えしたいことがございますので
メールフォームからお知らせくださいな。
コメントありがとうございます。また来てくださいね。
2012.01.16 Mon l 揺さぶられる日々 l コメント (6) トラックバック (0) l top

コメント

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2012.01.16 Mon l . l 編集
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2012.01.16 Mon l . l 編集
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2012.01.16 Mon l . l 編集
Re: No title
> 非公開Kさん

更新楽しみにしてくださって、ありがとうございます!

え?今、まさに、言われやしないかという状態なんですか?
うーん、それは考えてしまいますね。
お二人の間の空気がどのような感じなのか…わからないのですが、
Kさんの心配するようなことがないよう祈っております。

コメントありがとうございます。またお越しください。
2012.01.16 Mon l アル. URL l 編集
Re: No title
> 非公開Tさん

はじめまして!
…と、陽気に言ってしまっていいのでしょうか…
Tさんの現状、自分のことのように心配です。

私の記事で、余計わからなくなってしまわれたんでしょうか?
すみません。
お二人が、どうかあまり傷つかないようお祈りいたします。

コメントありがとうございます。またお越しください。
2012.01.16 Mon l アル. URL l 編集
Re: No title
> 非公開Mさん

当時は どれだけ泣いたかわからなくなるほどでした。
こんなに目から水分が出続けるなんて…と不思議でしたよ。

Mさんの体験されたという気持ち、いったいどのようなものだったのでしょう?
どんなことを考えてたのか?

あ、個人的には私、乾いてますよ。別な意味で。
だから、「乾物」と呼んで下さい。日持ちしますよ。

コメントありがとうございます。またお越しください。
2012.01.16 Mon l アル. URL l 編集

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