食事会当日 所用があってお店に到着するのが遅れました。

繁華街とはまったく趣が異なり 住宅街の中にあるイタリアンの1軒。
シバタさんが選んでくれたのは 落ち着いた雰囲気のオトナのお店でした。
ゆっくり味わいながら ワイングラスを傾けるのに最適。

私がお店に到着すると 店内には1組のお客さんしかいません。
食事会のメンバー4人がその1組で
私が扉を開けたとたんに 4人がいっせいに私のほうを振り返りました。

「あ、アル田さん!」
「アル田さん、お疲れ様です!」

口々に私に声をかけてくれるその中で
フジタさんが静かにこちらを見ていることに気づいて
緊張感が一気に高まります。

4人は入り口に一番近いテーブルに座っていました。

え・・と、私の座る場所は フジタさんの隣・・・

スギタさんが私を手招きします。
「アル田さん、どうぞここ座ってください!」
「え? ああ、やっ、あの・・」
「遠慮せずに、真ん中に座ってくださいね」

私は仕方なくテーブルの真ん中の席に着きました。
フジタさんとは 斜め向かいです。

できればフジタさんと隣り合う席がよかった・・
それなら こそこそと「仕事の相談を」とか言って
フジタさんの耳元で囁くこともできたのに。

恋人とは 向かい合った席でなく
隣り合う席を好むアル田です。
(フジタさんは恋人ではないですが)

5人揃ったのでお酒の注文もします。

私はグラスワインを頼みました。
フジタさんはオレンジジュースを使ったロングカクテルを注文していました。
あとの3人は・・なんやったかな? まぁ、何でもいいです。

前菜の皿が出され 乾杯をします。
アルコールが入って それぞれが会話を楽しみます。

私はフジタさんに仕事の相談を・・・
仕事の相談を・・・

「ねえねえ、フジタさん、あの話だけど」
シバタさんがフジタさんに話しかけます。

「あの話? ああ、あれね」
「○○で△△で、あれがこうなってどれがああなって・・・」

フジタさんは 私のわからないことをシバタさんと話し始めました。
私は2人の話に加わることができません。

私を挟んで反対側では
スギタさんとヒラタさんが 楽しそうに会話をしています。

「私のうちで実は○○が□□で・・」
「へぇ~、そうなんですかぁ?」
「そうなの。それでねー」


ふと気づきました。

なんや、これ。
ダブル放置やないの。

私は真ん中の席にいながら 完全に浮いていました。

フジタさんと話をしたいのに
なかなかできそうにありません。

仕方なく ワイングラスを持ち上げました。
そのまま ぐいっとワインを飲み干しました。

落ち着いたお店。
オトナの店。
ゆっくりワイングラスを傾ける。

確か そんなことも言っていたっけ。

フジタさんとシバタさんの話、終わりそうにないなぁ・・

またグラスをぐいっと傾けました。

なんだか グラグラしてきたぞ。

まずい。
私はお酒に弱いんじゃなかったかしら。

「アル田さん」

遠くの方から 声が聞こえて
フジタさんが私を見ているような気がしました。





(酩酊するアル田。救いの手は差し伸べられるのか?)
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2013.06.11 Tue l フジタの人事-仕事のできる女 l コメント (2) l top

コメント

No title
 W放置風景あるあるですよ。もうこうなりゃやけくそで飲むか食うかで潮の流れの変化を待つしかありません。さてその後どうなったのでしょねアルさんは。どなかたアルさんの孤独を解いてくれる人が現れたのかどうか少し心配です。
 
 最近このブログが不定期ながらも短いスパンで投稿されているので嬉しいです。
2013.06.13 Thu l モノクロ. URL l 編集
モノクロさんへ
そうですか、ダブル放置、ありますか?
同意のコメント、ありがとうございます!笑

私の深い孤独を解いてくれる、そんな殊勝な方なんていないと思いますが
それがですね・・・

不定期更新ですが 次回をどうぞお楽しみに。
2013.06.17 Mon l アル. URL l 編集

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