たしか以前 浮かれてこんなことを言っていました。

もう私1人だけの体ではないので~


お前いったい何が言いたいのだ? と苦情が来るかと思いましたが 来ませんでした。
(それはそれで寂しい)

それが今 「私1人の体に戻りました」

それは残念なような ほっとしたような。

事情があって詳しく書かなかったのですが
今日はもう 明かしても大丈夫なので説明しておきます。

---

ちょっと前に 親展の郵便物が届きました。
開封してみると「あなたはドナー候補者に選ばれました」と書かれていました。

何年も前に 骨髄バンクに登録していたことを思い出しました。

届いた封書の内容は 私に「骨髄を提供する意思があるか」を問いかけるものでした。


骨髄バンクの仕組みは
病気のために骨髄移植を必要とする患者と
自分の骨髄を提供してもよいという登録者との橋渡しをするものです。

骨髄の型は 他人どうしでは なかなか一致しません。
適合する確率は 数百人に1人とも 数万人に1人とも言われているようです。

登録者の数が多いほど 移植を必要とする患者が
実際に移植手術を受けられる可能性が大きくなるわけです。


送られてきた書類では ある患者さんと私の白血球の型が一致したので
移植に向けてコーディネートを進めていいかどうか
家族の同意を得たうえで回答してくださいとありました。

提供することについて 親は肯定も否定もしませんでした。

私が「提供することにします」と言ったら
何を言っても意志を変えないということを 親は知っているからでしょう。


1人で考えました。

体は健康です。
仕事のスケジュールも 数回の検査と4日間程度の入院なら 問題なさそうです。

あとはリスクだけです。

書類と一緒に送られてきた 過去の事例(主にリスクに関する)を読みました。
事故が起きる可能性は ゼロではないのです。


親しい人、数人に話してみました。

断固反対する人。
「私だったら あんなに痛いことはしたくない」と言う人。
「もう決めたの?」と言って 心配そうに私の顔を見る人。

なんだか心が揺らいできました。


前に仕事でお世話になっていた人(この人は医療関係者)にも聞いてみました。

返ってきた答えはこうでした。
「全身麻酔のリスクはあります。
 でも アル田さんの骨髄は確実に1人の命を救います」


1人の命。
私はリスクのことよりも 移植を受ける1人のことを考えました。

型が私と同じとはいうものの
どこの人かも知らないし 年齢や性別もわからないので
その患者さんのために! という気持ちは
不謹慎ながらあまり沸いてきませんでした。

私はまったく別のことを考えていました。

私は恋愛対象が女性なので
今のところ 異性と結婚して子どもを生み育てる予定はないし
この先も可能性は低いだろうと思います。

今回のことは
その代わりとなるチャンスなのでは?

自分の子どもを作り 育てることと
体の一部の組織を提供することを
並べるような考え方はおかしいかもしれませんが
自分の中で結論を出すまでの道筋となりました。

無意識に 自分の欠けている部分を重たく感じていたということか?

私は 返信用の書類に「提供します」と書きました。


バンクの決まりで 患者さんとドナーが直接会うことはありませんし
名前や住所なども 詳しいことは明かされません。

プライバシー保護と 公正さを保つため、との理由からです。

だから もし実際に提供することになっても
具体的な手術日や病院名が特定されるような情報を
インターネット上で公開することは止められています。

そんなわけで 周囲の一部の人だけに
もしかしたら提供者になるかも、と話しておいて
自分の体を整えることに専念しました。

レズビアンの皆さんとの飲み会では暴飲暴食をひかえ
ピアスもしばらく着けないようにしました。

旅行の予定を前倒しにして
仕事のスケジュールもあらかじめ伝えておき
支障がないようにしておきました。

検査や面談の結果 提供には問題ないことがわかり
あとは患者さんと私のスケジュールが合うかどうかとなりました。

そんなわけで
「私1人の体ではない」と浮かれていました。


しばらくして 連絡があり
他のドナーに決定されたとのことで 今回の提供はなくなりました。

また私1人の体に戻ったわけですが
今回のことは 身の振り方を考えるきっかけになりました。





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「文章から想像する」に拍手コメントくださった・・・

★Tさん
ご推察のとおりです。
初めてTさんからコメントをいただいたときに
ちょうどそのブロガーさんと会った後だったので
Tさんは既にご存じと思っていました。
Tさんは彼女のところと、私のところ以外に
どなたのブログをご覧になっているのでしょうか?
また教えてください。


★DAさん
たぶんDAさんのほうが クールで繊細かと思われます。
別ブログが見つかりません・・・


★Gさん
いやいやいや 社交的でもありませんし
行動力もないです。
Gさんのほうがよっぽど行動力ありですよ。
クルマですぐにどこまででも出かけられるのがすごいです。
もう暴飲暴食も可能ですよ(Gさん相手なら、しないと思いますが)
2012.09.30 Sun l 今日思うこと l コメント (12) l top

コメント

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2012.09.30 Sun l . l 編集
No title
"浮かれて"とご謙遜しながらも、
実は見えないところで、「一人の身体じゃない」ことに、
真摯に向き合っていたことを知り、私、尊敬しました。

「もう一人の身体じゃないって、使ってみたかった」ってところが、
なんだか微笑ましかったです(笑)←すみません。
2012.09.30 Sun l 納. URL l 編集
あらやだ!
てっきりアルさんご懐妊かと!


・・・すみません、言ってみたかったんです><

私もだいぶ前に骨髄バンクに登録したのですが、いまだ連絡きた事はありません
アルさんと違い、不摂生な私・・・
大酒飲みの骨髄って大丈夫なのかしらん?
2012.09.30 Sun l ライ. URL l 編集
そういうことだったのですね。
滋養のブログ、とても心があたたまる記事でした。
自分の骨髄が誰かの命を救う・・・
誰かの命の役に立てると思うことは、
たとえ、相手の顔や生活を知らなくても、
見えない繋がりや、命の重さ、そして自分自身の身体と
向き合ういいきっかけになるのかもしれませんね。

私は、若かりし頃に骨髄バンクに登録しようとしたら、
医療従事者だった両親に、そのリスクを理由に止められました。
そのときは大人しく引き下がり、今は健康保険証の裏の臓器提供の意思確認に、
提供を希望することを書くにとどまっています。
もう一度、骨髄バンクの登録を検討しようと思いました。
読みごたえのある素晴らしい記事でした。
ありがとうございました。
2012.10.01 Mon l ♪ねこ♪. URL l 編集
すべて謎はとけた!
そういう事だったんですね!

先日お会いしたとき、ピアスをされていたので実は内心びっくりしてました。
敢えて言いませんでしたが。。。
それと、車のシートに骨髄なんちゃらと書かれた封筒も見つけてしまったんですが、言いませんでした。

でも、今回全て繋がりました。
すっきりー★
2012.10.02 Tue l つーちー. URL l 編集
Re: No title
> 非公開Hさん

私もあんな針を背中に・・と恐怖を感じましたが
いろいろと考えているうちに だんだんわからなくなって
本来の主旨からはずれて 「まっいいか!」という感じでの提供承諾でした。
だからHさんの感じたことや考えたことは もっともだと思います。

> アルさんはやっぱり仙人のような人ではないのか…

あくまでも私を架空の存在としたいわけですね。笑

やっぱりHさんはクルマに詳しいですね。
ってことはバイク免許も当然お持ちなんですね!
私の好きなクルマは 時々、写真の背景に使用しております!
2012.10.02 Tue l アル. URL l 編集
Re: No title
> 納さん

あ、いえ、本当に浮かれていたと思いますよ。
人が経験しないことを 経験できるかも、と。
ほらだって「もう私1人の体じゃないんだー♪」って言ってみたくありません?
俗人です。はい、そうです。

ただどこかで移植手術がうまくいって
ドナーも患者さんも家族も笑顔になっていてくれたらなぁと思っています。
2012.10.02 Tue l アル. URL l 編集
Re: タイトルなし
> ライさん

ええ、そうなんですの。ほほほ・・・
これは単に下腹が出て・・・

何を言わせるんですか。

仮にライさんから提供された場合
大酒飲みのスバリストとなり そして女好きとなるわけですね(←失礼)

2012.10.02 Tue l アル. URL l 編集
Re: タイトルなし
> ♪ねこ♪さん

なんだかめちゃくちゃ褒められたような気がしますが・・
いえでも、登録したのは軽い気持ちで
今回2度目でもあるのですが たまたまドナー候補者のお知らせが
来てしまったという具合です。
ですから私はあまり「ある1人の患者さんのために!」と
意気込んでいたわけではないのです。

リスクはゼロではありません。
ウサコさんはじめ、どうぞ周囲の方とよくお話してお決めください。

あんまり真面目すぎるコメント返しもなんですので
この返しのBGMは『笑点風』ということでお願いします。パフ♪
2012.10.02 Tue l アル. URL l 編集
Re: すべて謎はとけた!
> つーちーさん

車のシートに深々と座り 「次は左!」と上からな指図を私にしている間にも
その骨髄なんちゃらの封筒を見つけられたのですね。
いつの間に・・全然知らなかった!

ピアス、そんなに驚かれましたか?
では次回会うときには 必ずピアスをしていくようにしますね!
2012.10.02 Tue l アル. URL l 編集
そういうことだったんですね。提供しようと思っていても、実際に覚悟を決めたのはすごいなぁと、尊敬します。さすが架空の人物アルさん。
私も中学生(?)の時に意思表示カードを貰った事がありますが、迷うことなく全部チェックしました(笑)
今考えると『眼球』だけは嫌かも…(-.-;)
2012.10.04 Thu l お雛さん. URL l 編集
Re: タイトルなし
> お雛さん

お久しぶりのような気がします。お忙しいですか?
中学生の時点で臓器提供(ですか?)に全部チェックですか・・
それもまたすごいですね。

臓器提供についてはとても悲しい目で見つめられたことがあるので
私は何も書いていません。
骨髄ならまた再生しますからねぇ。


2012.10.07 Sun l アル. URL l 編集

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