マイクにそえられた手と その指先。
ふだんの話し声とは違う 高音までつき抜ける声。

その歌声は 耳の鼓膜を震わせ
私の体と心に染み入る。
それは とても心地よい。
できることなら その声をずっと聞いていたい・・・


「はい、次。アルさん」

ええっ?

1曲歌い終わった彼女は 私にも歌うよう促す。

「私の歌えそうな曲ってカラオケにない・・・」
すがるような私の訴えに耳を貸さず
早く次の曲を選ぶようにリモコンをかざす Sな彼女。

Sな彼女は・・歌がうまかった。


「ボウリングの次はカラオケか!」と
ブログを読まれている皆さんに突っ込まれそうですが
まあ いいじゃないですか。たまには。


歌がうまい女性と2人でカラオケという
願ってもみない状況なのに
私はといえば 自分の歌える曲を探すのに必死。

こんなとき 自分の芸のなさを恨む。
私の好きなジャンルはマイナーすぎて
カラオケボックスではまず出てこない。

こうなったら
「波止場の向こうで お前」とか
「今夜は帰りたくない あなたともう一度」とか
「夜霧にむせぶ 女の肩」とか
歌ってしまえばいいのかもしれない(歌えないが)

彼女をちらりと見上げる。

彼女はまったく私のほうを見ていない。
その横顔を見て 私は別のことを考えていた・・・


アル渾身の1曲はなんだったのか
そんなことは 今はどうでもよい。

好きな人と一緒に住めるのか どうなのか?
悩むあの人の声をお聞きください。

アルより


=====

私はカナコ。
後輩のコウちゃんと一緒に暮らしたいな、と思っていました。
正社員になることが決まり どうにか私自身も安定しました。

ふとここで 気づいたこと。

そもそも コウちゃんって
私と一緒に暮らしたいの?

たしかにそれまで
「2人で住んだら きっと私が毎朝コウちゃんを起こすね」
「うん。料理はがんばる」
「北海道で宿をするのもいいね」
「いいよね!」
など 2人で語りあったことは何回もありました。

でも実際に住むところを探して 家賃の算段をして・・
といったようなやり取りは まだしていません。

私たちは2人とも実家暮らしで
職場も自宅から近いため
なかなか家を出るまでにいたりませんでした。

ただ それは言い訳で
本当のところは
「結婚をするわけでもなく 職場近くに引っ越すわけでもなく
なぜ2人が一緒に住むのか」
と言われる面倒を思い 動けなかったという私の不甲斐なさが理由です。

どことなく 私はコウちゃんに遠慮していました。
やはりどこかで私は
コウちゃんを自分の垣根の内に引っぱってきたという思いがありました。

コウちゃんに
「私たちはこの先どうするのか?」と聞くべきでしたが
聞けないのです。

きっと こういうところが ノリコとユカから
"ままごと"と言われるのだろうな。


私が前に付き合っていた彼女は
自分で決めたことに向かって しっかりと進める人で
「今はこうしたい」「次はこうしよう」という意見がはっきりした人でした。

私たちの間のことは 2人で決めていたはずですが
どちらかといえば 彼女に主導権がありました。

そして言葉がありました。
どんなあいまいな感情でも 彼女は理詰めで解決しようとし
私もそれに精一杯応じてきました。


ところが 今の私とコウちゃんの間には
主導権というものも
2人の間の空気を明瞭にあらわす言葉も存在しません。


やっぱり私が決めなければ いけないのかな。
「一緒に住みたいけど、どう?」と
コウちゃんに言葉を投げかけるべきなのかな。


そんなことを考えていたら
私は以前 あったことを思い出しました。


同性を好きになる自分を
私はそれほど変だとは思っていませんでした。

それどころか
同性を好きになれる才能がある とさえ思っていました。

そんな私を言葉で崩したのが 前に付き合っていた彼女です。

彼女は私を抱きしめながら
「これは間違ってることなの」と 私に囁きました。

これは間違っている。
いつか 私たちは終わる。

そんな言葉は聞きたくないのに
勝手に心に刻み込まれました。


彼女の言葉どおり
私たちは終わったわけですが
その後に出会ったコウちゃんを
どう扱ったらいいのか 本当に悩みました。

悩んだ挙句 私は自分の心に刻みついている言葉を
コウちゃんに言いました。

コウちゃんは泣いていました。

いろんな場面でコウちゃんが泣いているところを思い出せるので
たぶん何度か その言葉を言ったんだと思います。

そうするうちに 私はようやくわかりました。
言葉で表せないものを 手でつかんだ、という感じです。

そして 自分のするべきこともよくわかりました。

私は コウちゃんと一緒に歩いていく。
コウちゃんの歩幅に合わせて歩く。

それは「するべきこと」じゃなくて 「したいこと」かな。

こんな課題があって
「今すぐ その答えを出せ! さあ、出せ!」
と突き詰めるのが ベストなんかじゃない。

私が歩いていく その何歩か先に
一緒に住むことがあるのなら そのときに。

あー。
また "ままごと"と言われるなー


=====

アルより ひと言。

さて。
本日もまた 出かける時間となりました。

カラオケじゃないですよ。
ボウリングも もう当分いりません。

そろそろビリヤードもやってみたいものですが
私はキューで自分の指を突くくらいの腕ですからね。

誰か私にビリヤードを教えてくれませんか?
手取り、足取り、○取りで。



(『アル指定』については かなりな遅筆です。それでもよろしければお付き合いください)
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「真似てみる」に拍手コメントくださった・・・

★Pさんへ
Pさんもバレーボール見てたんですね!
ハラハラしましたよね、とくに3セット目。
・・って、バ、バーベル!?
アレイでなく バーベルですか!!
いったいPさん、何やってる人なんですか?
2012.08.14 Tue l アル指定 l コメント (4) l top

コメント

過去に酔っ払ってビリヤードをしたら、キューで羅紗を破いた私よりましですよ、うん、きっと!!

カナコがコウちゃんに言ったであろう一言
つきあって8年目に、その言葉を彼女に言ってしまいました
カナコと違って、売り言葉に買い言葉って奴ですけれども・・・
そんな事を思い出して、胸がザワザワするので、ひとっ走りしてきます

2012.08.14 Tue l ライ. URL l 編集
Re: タイトルなし
> ライさん

酔っ払ってビリヤードは難しそうだ!
そりゃ私も破くかもしれません。

ひとっ走りから無事戻ってきた?
ライさんのひとっ走りはきっと「かっ飛び」なんでしょうね。笑
峠の赤い閃光・・・
2012.08.16 Thu l アル. URL l 編集
No title
言葉の使い方や受け止め方が、ひとりひとり違うように、
歩んでいく歩幅も、ひとりひとり違います。
カナコとコウちゃんの歩幅さえ、大きくずれてしまわなければ、
それでいいのではないでしょうか。

ボーリング・カラオケと来て、ビリヤードではない。
ダーツでいかがでしょう。
私たちみたいに卓球じゃないだろうし、
アルさんにストラックアウトは似あわないし←勝手に決めてる(笑)
・・・なんて書いておいて、私はダーツしたことありませんが。
2012.08.17 Fri l ♪ねこ♪. URL l 編集
Re: No title
> ♪ねこ♪さん

コウコの歩幅に合わす、と宣言してしまったカナコは
本当に大丈夫なのか?と気になっています。
どこかで無理なことが出るんじゃないでしょうか・・・

卓球!
下手ですけど好きです。
ストラックアウトはしたことがないですが
こちらはたぶん得意分野と思われます(笑)
2012.08.18 Sat l アル. URL l 編集

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